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■描いた時期:2007年3月頃
沖縄から神奈川に移り住んでから5年目。
問題多発のバイト先にストレスを溜めながら描き上げた、上京しての初オリジナル漫画。
複数人参加する同人誌に出した作品である。
34歳でまだこのクオリティである。遠いな・・・フッ・・・

■タイトルについて
タイトルの「やまはら」は、「山原」の事ではあるが、沖縄では「山原」の事を「ヤンバル」という。
それなら沖縄漫画だから「やんばるの記憶」のほうが良いような気もするが、あえて「やまはら」にした。
平和な時代(ヤンバル)を生きる現代の少年達が、自分達の知らない戦争時代を知り、いつもの風景が何か違うもののように感じた。
タイトルではその少年達の、いつもの風景が違うもののように感じた距離感を、「ヤンバル」をあえて「やまはら」という読みにしたわけです。
え?言ってる意味が分からない?
僕も説明できません。

■ヤンバルテナガコガネ
1983年に沖縄本島北部、いわゆる「ヤンバル」で発見された、前脚が長〜い大きなコガネムシ。
国内最大級の甲虫。天然記念物なので捕っちゃダメよ。

■名前について
日本本土にも、「昔風の名前」があるように、沖縄にも「昔風の名前」がある。
そうこう、けんしん、ちけん、しゅんじゅん、ちょうほう・・・など。
自分の同級生にも昔風の名前の者がいたが、現在では「日本風の名前」を通り越して、「きらきらねーむ」とかが広まっている・・・かもしれない。

■不発弾や薬莢について
沖縄は激しい地上戦があったので、畑を掘る度に銃弾が出てきたり、不発弾が出てきたりしていた。
那覇に住んでいる自分も、実家の畑で時々見つけた。
自分が高校生の頃、近所で不発弾が見つかり、半径数キロ内の住人が非難している時間に、一人事情を知らずに昼前に起きて、ゴーストタウンのようになった近所を歩いた経験がある(笑)

■おばけについて
沖縄には至る所に神がいるという信仰があり、ユタ(巫女さんと占い師みたいなもの)がいて、戦争でたくさんの人が亡くなったので、それに関連した幽霊話しが非常に多い。
「まじむん」とは「魔物」の事。悪霊、妖怪という意味合いがある。

■タバコを吸うおばあについて
僕は基本的にタバコは吸わないし、推奨派でもなければ否定派でも無い。
いや、 あえて言えば「ちょっと否定派」ではある。
なので、タバコを吸う描写は好き好んで描きたい気持ちは無い。
しかしタバコを吸っているおばあちゃんを見ると、戦中戦後を生きた逞しい女性達の象徴のように思え、そういう意味で敬いを持って描きたくなった。

■シカマーマンチョコについて
これは「ビックリマンチョコ」のパロディである。
沖縄では驚く事を「シカむ」といい、臆病な人の事を「シカまー」という。
同じ「驚き」の意味の「ビックリ」を「シカまー」に変えただけ。
元になった「ビックリマンチョコ」にはチョコのお菓子にオマケのシールが付いていて、色んなキャラクターが描かれていたりする。
そのシールの中には稀に銀色や金色に光るシールなどもあり、レアなものとして人気があった。

■沖縄の方言のセリフが多くて読み辛い件について
多くの一般人に漫画を読んで貰うなら、セリフは標準語が読み易いとは思うが、沖縄の雰囲気をリアルに伝えたいと思ったので、あえて解説の無い方言にした。
読者に優しくないスタイルでごめんなさい。
しかし商業誌と違って、同人誌はそこが気楽である。

文・2014年(平成26年)7月